ニュースリリース

マンション内電力融通システム「T−グリッドシステム」採用のスマートタウン計画について

2014年1月30日

家庭用燃料電池エネファーム(以下、エネファーム)によるマンション内電力融通システム「T−グリッドシステム※」(以下、本システム)は静岡ガス株式会社(本社:静岡市駿河区、代表取締役社長:戸野谷宏/以下、静岡ガス)が東レ建設株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:冨山元行/以下、東レ建設)の協力の元で開発・構築したシステムです。本システムは電力の一括受電とエネファームを組合せ、マンション内で電力の融通を行う技術で、更なる省エネとCO2削減を可能とし外部からの電力購入量を大きく低減します。
東レ建設は、静岡県東部に本システムを導入した分譲マンションと一戸建を複合したスマートタウンを計画しています。分譲マンションで本システムを導入するのは、日本で初めての取り組みとなります。(※【参考】をご参照ください)

(1)計画概要について

東レ建設は、分譲マンションと一戸建を複合したスマートタウンを静岡県東部に計画し、2017年度の完成を予定しております。(1期工事:2016年度、2期工事:2017年度)

  1. 「T−グリッドシステム」の開発協力および導入。
  2. 太陽光発電と蓄電池による通常時の省エネルギーと災害時(停電時)の電力供給。
    (エネルギーセキュリティの構築)
  3. HEMS(Home Energy Management System)、MEMS(Mansion Energy Management System)の導入による、各住戸や共用部のエネルギー(電力、ガス、融通電力量など)の見える化。
    機器の遠隔発停や最適な制御と地域情報・生活支援情報などサービスの提供。
  4. 通風の配慮、自然光の導入、緑化の充実など自然を活用した質の高い環境の確保。
  5. 緊急時(災害時の断水)を想定した給水の確保。
  6. コミュニティラウンジやコミュニティパーク、防災倉庫・防災設備の設置。

静岡ガスは、エネルギーシステムの開発および構築とエネルギーサービスを提供してまいります。

  1. 「T−グリッドシステム」の開発および構築。
  2. マンション各住戸へのエネファームの供給。
  3. マンションへの一括受電サービス事業による電力の供給。
  4. 電力、ガスなどの料金一括請求システムとHEMSを活用した各住戸へのエコレポートによるトータルエネルギーサービスの提供。

(2)本システムの導入効果について

本システムは、一般的なマンション設備に比べ、以下のような効果が期待できます。

  1. 一次エネルギー削減率:約25% (建築物におけるエネルギー消費量ベース)
  2. CO2削減率:約30% (建築物におけるエネルギー消費量ベース)
  3. 外部からの電力購入量(系統依存度)の低減率:約60%
  4. エネルギーコスト削減率 :約30% (電力融通の売買取引によるコスト削減効果は除く)
  5. 居住者の節電意識の向上とコミュニティの形成にも繋がる。

マンション内電力融通システム「T−グリッドシステム」概念図

マンション内電力融通システム「T−グリッドシステム」概念図

「電力融通」概念図

「電力融通」概念図

【参考】 「T−グリッドシステム」について

家庭用燃料電池エネファーム(以下、エネファーム)は家庭内の電気の使用量に応じ、発電出力を制御します。ただし、エネファームの最大発電出力は750Wであるため、家庭内の電気使用量がそれを超える場合、不足する電力は外部から購入する必要があります。「T−グリッドシステム」(以下、本システム)は、このように電気が不足する家庭に対し、発電余力のある他の家庭のエネファームから電気を融通します。
具体的には従来通りのエネファームの制御に加え、マンション全体の電気の購入量を計測し、発電余力のあるエネファームの出力を上げることによって、マンション全体で不足する電気量を賄うことができます。
本システムは、外部からの電力購入量(系統依存度)を大きく低減する事によりエネルギーの地域生産地域消費に貢献し、更なる省エネルギーとCO2削減に貢献します。また、居住者の節電意識の向上、マンション内のコミュニティ形成にも繋がります。

※T-グリッド=Town(街)、Team(協力)、Trust(信頼)、取引(Trade)の頭文字。街区内(Town)に構築する電力網(グリッド)であり、住民の協力(Team)と信頼関係(Trust)のもと、住戸間電力融通による電力取引(Trade)を可能にする


マンション内住戸間電力融通の一例 *図参照

【Aさん宅】
夫婦2人と子供3人の5人家族。子育て世帯で電気の使用量は比較的多い。
朝と晩の二度にわたり、家庭内の電気使用量がエネファームの最大発電出力を超過しており、従来のシステムでは、この時間帯は電力会社から電気を購入する必要があった。


【Bさん宅】
2人暮らしの夫婦で、一日を通して電気の使用量は比較的少ない。
一日を通してエネファームの発電に余力があることから、本システムを構築し、Bさん宅のエネファームの発電出力を増加させることで、Aさん宅に電力融通が可能となる。


マンション内住戸間電力融通の一例
以上